デクスター 警察官は殺人鬼

マイケル・C・ホール
ジェニファー・カーペンター

幼い頃、母親の惨殺現場を目撃したことをきっかけに、殺人衝動が抑えられなくなってしまったデクスター。

殺されて当然の犯罪者だけを狙い、殺人を繰り返してきた。

連続殺人鬼である本当の顔を隠す為、職業は警察の血痕けっこん分析官。職業がら、証拠を残さないのはお手のもの。

都合の良い恋人もつくり、表向きは普通の人間のように振舞っている。

それはすべて、警察官だった今は亡き、養父により教え込まれた生き抜くための“おきて”。

周囲をすっかり騙すことに成功しているデクスターだが、同僚の刑事、ドークスだけは“どこかおかしい”と疑いの目を向けるのだった…。


デクスターの“心の声”が皮肉な笑いを誘う。

絶対に肯定できない殺人。なのに、デクスターの味方をしてしまう自分がいる。

デクスターが殺人鬼を殺すことで、以降、被害者が発生しない。無実の人間が被害にあう前に手を下すことで、助かる命の方が多い。確かにそれが現実かもしれないが、殺人を肯定するわけにはいかない。死刑を肯定するか否定するかのジレンマに似ている。

殺人鬼はサイコパスであることが多いと言われ、サイコパスには感情が無く、特に共感性が無いという。

デクスターも常人からすると、不思議な対応をすることがあるが、それは人生経験を踏んでいないだけのようにも見える。

感情が無いはずのデクスターが、表の顔を隠すために利用しているだけだったガールフレンドを本当に愛してしまう過程は、初めて本当の愛を知った者と変わらないように見え、デクスターの人間としての成長も描いている。

殺人鬼をこんな風に描いた作品は無いと思う。

などと理屈っぽいことばかり書きましたが、既に最終シーズンまで終了しているし、単純にエンターテイメントとして面白い作品なので、オススメ。

秀逸なのは、毎回流れるオープニング。当たり前の朝の身支度なのに、見方を変えると「こんなにも殺人をしている場面に見えてしまうものか」という映像です。